湾岸諸国の関係が大きく揺れている。2014年3月15日のカタール大使召還事件によって、それまで緊密な友好協力関係にあったGCC(湾岸協力会議)に前例のない政治的亀裂が生じたのだ。要因としては米国の方針転換によるものが大きいが、いずれにしても今後、GCC諸国に新しい戦略的な枠組みをもたらす可能性は高く、それは各国に価値観や文化を含めた戦略的な利益の見直しも迫ることになるだろう。一方、パレスチナ・ガザ地区ではハマスとイスラエルによる第3次ガザ戦争が続いている。しかし、この戦争がイスラエル南部国境の恒久的な安全保障の確立に成功するとは思えないと語る山内昌之氏。「狡猾国家」イエメンの現状も含め、混沌を極める中東情勢を追う。
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友好関係にあったGCCにとって前例のない政治的亀裂
中東・湾岸情勢(1)GCC3カ国のカタール大使召還事件を読み解く -
大使召還事件はGCCに新たな枠組みをもたらす
中東・湾岸情勢(2)新しい戦略的互恵と提携の時代へ -
シオニズムとナクバ、歴史の悲劇が物語る対称性の叫び
ガザ地区におけるイスラエルとパレスチナの対立(1)三つの次元の変化 -
停戦は困難!? 泥沼化するガザ問題の根底にあるもの
ガザ地区におけるイスラエルとパレスチナの対立(2)イスラエルの軍事作戦とハマスの政治的戦術 -
ISの戦闘と第3次ガザ戦争では歴史的な意味合いが違う
ガザの悲劇、その反復の理由―新しい三つの変化 -
友にして敵なのか、敵にして友なのか―中東の複雑性
中東のパラダイムシフト―「敵の敵は友」か? -
旧権力の失墜で生じた真空に新権力が衝突しつつ勃興
中東のパラダイムシフト―アラブ国家解体と新勢力台頭 -
イスラエルが危惧するイラン・米国の融和
中東のパラダイムシフト―米国・イラン・イスラエル -
エリートが社会の亀裂を利用して経営する国家
狡猾国家イエメンの現状(1)狡猾国家の三つの特徴 -
エリートたちは権力保持のため敵とも組む
狡猾国家イエメンの現状(2)サウジとイランの代理戦争 -
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中東協力現地会議(1)シリア戦争の行方と分割の危険性 -
ローザンヌ条約以来、因縁のモスル帰属がクルド問題の争点
中東協力現地会議(2)クルドの民族問題と独立への可能性 -
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中東協力現地会議(3)トルコの民主主義と外交 -
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トルコのシリアへの軍事介入の背景と経緯
中東の新たな地政学的変動(2)トルコの標的 -
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中東の新たな地政学的変動(5)新三国同盟の壊れやすさ -
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2017年湾岸とシリア(2)シリアの現状とISの今後